WAKE UP

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「…こっちこっち!」 エリ(俺、命名)は、俺達よりも遥かに速いスピードで走っていく。 「ちょっ、ちょっと待て!」 「エリちゃん、早すぎだ…」 俺達は、必死で後を追いかけるが、何故かエリの方が圧倒的に速かった。 「…もう!私が危険なんだよ!疲れるには、早すぎるでしょ、二人とも!!」 エリは息切れる俺達に気付き、足を止めて休息を取りながら、俺達を急かす。 「…何故そんなに早く走れるんだ、エリ。絵理は確かに足は早かったが、俺達より早くはなかったぞ?」 俺が質問すると、エリはハッとした表情になり、目線を下げ、こう言った。 「…そうか。二人は、私よりも知らないんだね…」 エリの言葉には、どこか釈に触る物があったが、知らないのは確かな事なので、何も言わない事にする。 「さっき、『私にもよく分からない』って言ってたけど、何か知ってる事があるのか?」 久藤の問いに、エリは顔を上げて大きく頷いた。 「うん…。私は、ニ時間前位にこの空間に来たから、二人よりも多分、状況を把握してる筈。それに、よく分からないのは、今の私の体や、絵里の方を襲っている奴らの事だから」 そういうのは先に言え―という怒りの言葉を飲み込んで、俺は代わりにこう言った。 「…じゃあ、走りながらでいいから、かい摘んで話してくれ。…絵理は、何も知らない俺達に助けを求めたんだろ?早く助けに行かなきゃな」 「…そうだな。狩谷にセリフをほとんど取られたが、そこは俺も同じ気持ちだぜ!」 久藤は、苦笑を浮かべながら、エリに向かって親指を立てた。 俺達の言葉を聞くとエリは、一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにこう言った。 「…うん。二人とも、本当にありがとう。本当に…」 エリは感謝の言葉を述べた後、少しだけ涙目になったが、すぐに元通りの笑顔に戻った。 …それは、俺が今まで幾度となく見てきた、絵里の笑顔とよく似ていた。 「…それじゃ、私の知っている事を話すけど…ちゃんと、ついてきてよね?」 「…お前が、俺達に合わせろ。何か分からんが、異常に足が早いんだよ。追い付けない」 平然と無茶な要求を言ったエリに、俺はきちんと突っ込みを入れてやった。 「…分かった。じゃあ行くよ!二人とも!!」 素直に納得したエリは頷くと、再び俺達を先導し始めた。
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