STARTING

2/2
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
もし目の前に、撃っても、罪にならないピストルがあったら、貴方はどうするだろうか? ifの話など、しても意味が無いというのは分かっているし、俺自身もあまり好きではないが、出来れば真剣に答えて欲しい。 おそらく大半が、『ムカつく奴を殺す』とか、『恐ろしくて、撃つ事が出来ない』という答えに終始するだろう。 …俺の場合はどうするかって? そうだな…俺なら、多分、こう望むだろう。 『現状をどうにかしたい』と。 …いや、この答えは、俺なら、というより、この状況下なら、といった方が正しいだろうな。 賭けてもいい。もし、今現在、俺の様な状況になったら、百人中百人がそう答えるだろう。 …何故かって?よし、それなら今俺が置かれた状況、見ている光景を、出来るだけ解りやすい様に言語化してやろう。 それでパッとしない様なら…、貴方の想像力不足か、俺のボキャブラリー不足が原因さ。 「フハハハハ!!」 「グルアアアアア!!」 さて、俺の目がおかしくなってさえいなければ…、視界には今二人の【人間だったもの】が、写っている。 …ええい、急ぐな。人間だったという表現が、どういう意味なのかは、今から俺が一言で簡潔に表現してやる。 …しかし、俺はなんで此処まで冷静に、物事を見ていられるのだろうかね? 俺の脳が、現実を受け入れてないんだろうか? おっと、話が逸れたな。 …例えるなら、そうだな。 先程高笑いをしていた見知らぬ男は【炎の魔神】。 獣の様に叫んでいる、俺の旧友は…その見た目通り【獣人】といった感じだろうか? 炎の魔神は、体中から炎を噴出していたし、獣人は、人間ではあり得ない様な、牙や爪が生えていた。 代名詞に疑念の余地はあるか? んで俺は、何の変化も無し…、ちょっと待て、頭が痛くなって来たぞ。 「…くっ!!」 脳の奥からハンマーで叩かれた様な痛みが俺を襲い、俺はその場に膝をついた。 おいおい…今はそんな事をしている場合じゃないだろう…。 何とか立ち上がろうとした時…炎の魔神が俺に向かって火炎放射みたいなのを出して来やがった。 マジかよ…逃げたくても、体が言う事を聞かない。 ふと、俺の脳内に、今までの記憶が蘇る。…ああ、走馬灯ってこういう事か。 とりあえず、これが最期だ。俺が此処に至る経緯を話そう。 …まぁ、俺が生きている内に伝えられるかどうかは分からないので、そこは断っておくよ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!