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…俺が久藤と共に、バスケ部の練習試合が行われる体育館までの道のりを歩く間、今から俺達が何をしようとしているのか、説明しよう。
まぁ…単純かつ明快に言えば、部活の助っ人だ。
俺達は、自分で言うのも引けるが、運動神経には自信がある。
…けど、特にやりたい部活がある訳ではなかったので、帰宅部に属していたのだが、ある日。
「良ければ、部活の助っ人してくれない?」
中ニの夏だったろうか。
今となっては、名も覚えていないが、弱小部活の奴に誘われ、二つ返事に了解した。
そこでまぁ、俺達二人は簡単にルールを教わり、試合に参加したのだが…。
結果は大勝。二人で、総得点の半分近くを占めた。
「どうもありがとう!」
俺達を誘った奴は、感謝の言葉と共に、当時クラスで流行っていたカードゲームのレアカードを差し出してきた。
一時間足らずの試合出場で、思いがけない報酬を得た俺達は、それに味をしめ、二人でこの活動を続けていこうという話になったのは言うまでもない。
…とまぁ、こんな活動を三年近く続けていたせいだろうか、高校に入学してからも、俺達には依頼が殺到し、現在に至るという訳だ。
む…、またもや話が脱線した様だな。まぁ、この様になるのは決して俺のせいじゃない。
…強いて言うなら、神様のせいとでも言っておこう。
あ、一つ言っておくが、俺は無神論者で決して神様という、非科学的存在を信じている訳では無いので、其処は間違いのない様に。
そんな事を説明している内に、俺達は体育館に辿りついた。
中には、試合前の調整を念入りに行なっているバスケ部の連中がいた。
俺達の姿に気付いた一人の部員が、部長らしき人物と一緒に、俺達の方へとやってきた。
其処で依頼人や部長と二言三言喋ると、俺達は渡されたユニフォームに着替えた。
先程の会話の内容は、頼む時の常套句を並べた様な会話だったので、正直記憶するに値しなかったが…話をかいつまむと部員が足りない状況らしい。
俺は体育館の半分を占有出来る状況に疑問を浮かべながらも、指示されるがままに、コートの端に部員達と共に並んだ。
その後、試合の始まりを告げるホイッスルにより、俺は言われたポジションにつく。
そしてジャンプボール(…これは正式名称かね?)を行い、ボールが弾む音を合図に、コート上にいた全員が、各々の立場を遵守する為に走り出した。
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