WAKE UP

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「どうするの、狩谷!行くの、行かないの?」 「ええとだな…」 五時間目以降俺が無事でいる為に、どのような答えが最も適当なのかを考えていると、救いの声の様に、俺の耳にチャイムの音が入ってきた。 そして、チャイムが鳴り終わると同時に、英語担当の教師、増岡が入ってくる。 「…もう!次の授業が始まる前に決めておいてよね!」 そう言い残すと絵里は、周りの生徒と同じ様に、慌てて教科書等の書籍を取り出した。 「…さて、どうするかね」 英語の授業中の話である。 増岡の法則では、今日は俺には指名されない日だったので、適当に黒板に書かれた内容を板書しながら、先程の絵里の問いの答え方を考えていた。 いや、答えは決まっている。 好きなバンドのコンサートを、異性と二人きりで行くんだぞ? これを断る人間がいたら、是非とも下の宛て先まで送って来て欲しい。 …いや、書かないよ? そんな事を考えている内に、いつの間にか、五時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。 …仕方ない、ベタだが、小声でバレない様に了承するという、古典的な方法で行くしか無い。 「…おい、絵理」 「決まった、狩谷?」 そんな俺の健気な努力虚しく、絵里はよく聞こえる声で、俺に尋ね返して来た。 ああ…また視線が集まったよ。 …何か、どうでもよくなった。 「…勿論、行かせてもらうさ。一緒に楽しもう」 若干、開き直った感で言うのがポイントだ。 …周りの視線? はっ、知ったものか。 俺の返事を聞いた絵里は、今日一番の笑顔を俺に向けた。 「うん、分かった!じゃあ、ちゃんと予定空けといてね!忘れちゃダメだよ!!」 そう言うと絵里は、本当に嬉しそうな表情でPUMPの最新の曲を鼻歌で歌いながら、六時間目の授業の準備をし始めた。 …ざまあみろ、男子ども。何時でもかかってこい。 正々堂々のタイマンだったら、一日一回の制限付きで、受けて立ってやる。
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