おかえり。

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『なんでィ。留守電か。』 聞き慣れた少しガキっぽい声がスピーカーを通して聞こえ始める。 『あー、時間ねーんで手短かに。 なんかこれから山ん中調べるんであんまし連絡取れなくなるそーですぜ。ただでさえ電波悪ィっつーのにふざけた話でしょう? だから手紙書くんで待ってて下せィ。 土方さん…、早く帰りてーです。 アンタの間抜けな面見ねーとどうも調子狂うんでね。 なーんて嘘でィ。 声、聞きたかったんだかんなコノヤロー。 アンタに、会いたい。』 愛してます。 そう告げると、機会的な電子音が鳴り響いた。 「バカヤロー。」 どこが手短かだ。 アイツが長ったらしく語るのは性じゃないのを知っているから、寂しいのかなんて考える自分に苦笑が漏れる。 もう内容を覚える程に何度も聞いたフレーズは、自然と指をリダイアルボタンへと導くが、大抵が形式的な圏外を知らせるメッセージで、たまに繋がっても留守番電話案内だけ。 本当に聞きたい声はもう一ヶ月も聞いていない。 留守電に繋がるたび、ピーッという発信音を聞きはするものの、数秒後には通話オフ。 何を喋っていいのかわからなくて。 でも、そろそろ…。 トゥルルルルと数回鳴った後、今日は運よく留守電に切り替わり、ピーという合図が鳴り響く。 「…総悟、元気か?こっちは元気だから心配すんな。 無理、すんなよ? っつーか、手紙。来ねーんだけど、出したのか? まぁ忙しいんだろーからしゃーねーけど。 俺だってなァ、 声聞きたいんだよバカヤロー。 悔しかったら電話出やがれ。 じゃぁな。 俺も、」 最後の一言に躊躇う。 「俺も、」 『俺も、なんでさァ?』 ??えっ…。 ----------- やっと、本当の声。 (続く!)
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