プロローグ

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扉の先には廊下はなく、小さな小部屋があり、一人の老執事のような白い髭を蓄えた、身なりのいいおじいさんが立っていた。 おじいさんは深々と礼をして挨拶をする。 「私、女神アズマリアに仕える名をミルコといいます。あなたは1101番様でございますね?」 「アズマリア?」 「先ほどの少女の風貌をした神のことでございます」 特に疑問を抱かず、1101番はミルコに尋ねる。 「で、僕はどうしたら?」 ミルコはどこから取り出したか、パンツに黒いズボン、そして新品であろう匂いが漂うシャツに、これまた黒いジャケットを手渡した。 「これがあなたのここでの正装でございます」 1101番は自分が裸なのは気にしていなかったが、服を受け取るとさっさと着替えた。 着替えながら1101番は尋ねた。 「僕に名前はないのですか?」 「下界に降りたらあなた様の姿に合った名前をお考えになれば、よろしいかと」 「どういう意味ですか?」 ジャケットに腕を通しながら、1101番は尋ねる。 ミルコは服のシワを正すように、ジャケットを引っ張りながら答える。 「あなた様が下界のどこに降りるか、対象者が誰か、によって一番適切な外見が与えられます。だからその時にご自分で名前をお決め下さい」 1101番は最後に軽くズボンをはたき、答える。 「わかった。で、これから僕は何を?」 ミルコは指を鳴らした。 するとミルコは古ぼけた茶色いスーツに身を包み、ステッキを紳士らしく手に持った姿に変わっていた。 「初めてなので、わたくしが説明がてらお供します」 そう言うと、ステッキを高く上げ、振り下ろし、石の床にカツンと音を鳴らした。 その瞬間、石造りの部屋は溶けるように消えて、視界が回り始めた。 こうして1101番は下界へと向かう。
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