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1101番とミルコは閑静な通りの歩道に立っていた。
辺りは深夜なのか暗く、ひっそりとしていて、動くものは街灯に群がる峨だけだ。
1101番はふと自分の姿を見てみる。
いつの間にか着ている服はジャケットから、若者向けの赤色を基調としたパーカーにジーパンだった。
ミルコが先ほどとは変わらず、明らかに時代錯誤の紳士姿だったので、1101番はアンバランスだ、と思い少し笑うが、ミルコは気付いたのか気付かなかったのか、黙って手鏡を渡してきたので、1101番は鏡を受け取り、覗き込んでみる。
そこには青い目に白い肌、そして少し長めのカールした金髪の、ややあどけなさが滲み出た青年が映っていた。
1101番は少しドキドキしていた。
死神は何をするのか。
そんな好奇心で頭が一杯だった。
ミルコに鏡を返すと、少し考えるように顎を摩り、しばらくして思いついたようにミルコに話し掛ける。
「そうだな……トミー=ジュリオ。僕の名前はトミーだ」
ミルコは軽く帽子を下げて、同意を示した。
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