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一瞬の出来事だった。
次の瞬間、それの姿は骸骨ではなくなっていた。
黄色人種特有の少し黄色い肌が骨を覆い、肌越しではわからないが、筋肉と脂肪もその肌の下に作られているだろう。
それは新しい肌を試すように、両手をさすってみた。
そこには毛も爪もなく、それはまるでマネキンのような姿だった。
それは歯のない口から、空気が抜けるような声で尋ねる。
「あなたは誰ですか?」
少女は両手を広げ、祈るように話した。
「私はあなたがたが一般に神と呼ぶ者の一人です」
それが口を挟む間もなく、自分を神と言った少女は続ける。
「そしてあなたもまた神になる権利と義務を得た。今から順序だてて説明しますが、まずはあなたの姿をきちんと呼び起こしましょう」
そう言った少女の右手にはいつの間にか赤い液体の入った、ワイングラスがあり、少女はそれを優しくそれのやわい手に手渡した。
それは飲めということだ、と理解して、一息に赤い液体を飲み干した。
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