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「死神と呼ばれる神の仕事です」
青年は何と言っていいかわからず、ただ少女の深い海のように静かな目を見つめるばかりであった。
「実は死神といってもただ生者に死をもたらすだけでなく、三つの種類があるのです」
そう言うと少女は今まで太陽にさらされたことがないような、右手の白い人差し指をたてた。
「一つ目は善き生者が死んだ際に魂を体から引きはがし、連れていく先導者」
死神はそれだけではないのか?
青年はそう思ったが、少女の邪魔はせず、見守った。
少女は次に中指もたてて、続ける。
「二つ目は救いがたい悪を無理矢理地獄に連れていく執行者」
少女はここで一呼吸おき、薬指をたて説明する。
「そして三つ目。悪だが、救いがないわけではない者に手を差し延べる救済者……あなたの仕事です」
青年は言っている意味が全く理解できなかった。
「きちんと説明しましょう。かけてください」
いつの間にか青年の後ろに木造の椅子が置かれていた。
青年は言われるままに腰をかける。
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