プロローグ

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「人はえてして弱い生き物です。死期を知ってしまった人間は何をするかわかりません」 青年は納得した。 膝の上の両肘を上げ、手を顎にもっていくと考え込むように尋ねる。 「で、僕は何をすれば?」 「死期が一週間を切った人の所へ行き、残りの時間でその人に心から懺悔させて下さい」 「どうやって?それにもしできなかったら?」 青年は少し横柄な尋ね方をしてしまったが、少女は気にせず続けた。 「あなたはこれから空き番号の1101番の死神となり、下界に降りてもらいます。やり方と、もし懺悔しなかった場合については後々説明します。では早速ですが、あの扉を出て、準備してください」 少女は先ほど青年が入って来た扉を指差した。 青年はまだまだ聞きたいことがあったが、これ以上聞くのは野暮だろう、と思い扉を開けて部屋を出た。
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