プロローグ

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 くだらねえ 名もない悪魔はずっとそう考えていた  誰かに縛られるなんてまっぴらゴメンだ ただそう思っていた 今ある自由が続けば それ以上に望むものはないと だから本当に驚いた 気づけば自分からその世界へと歩みでている事に 今まさに自分から自由を投げ出そうとしている事に  階級なんてやっぱり欲しくない 今でも名前なんていらないと思ってる  それになにより…… 今だってあの門を通るのは怖い どうしようもなく怖い  名もない悪魔は立ち止まり 目の前の空間を眺める でも それ以上に……  俺って奴はどうもほっとけない性質らしい 名もない悪魔は自嘲しながら皮膜状の翼を拡げると 間もなくして黒い闇に吸い込まれた
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