第十三章 衛星

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夕暮れの空が見えた。 屋上には、ヘリが二機…一つはミサ達が乗ってきた物。もう一つはショウが乗ってきた物である。 ワタル 「動かせるのか?」 ケリィ 「ヘリのプログラムを変更した!ここから、一番近い街の学校の校庭に自動的に着陸する!」 「グロロロロロォオォ!」 遠くから、得体の知れないうなり声が聞こえ…みんな青ざめた。 ユイ 「まだ…何かいるんですか!?」 レナ 「化け物だ…さっさと行くぞ!」 次々とヘリに乗りこむ…しかし、ワタルだけが立ち尽くしている。 アリィ 「どうしたんですか?早く…」 ワタル 「ケリィ!ヘリを離陸させろ!」 ケリィ 「お前…まさか!?」 ワタル 「あの化け物は…俺自身だ。自分のケツは、自分で拭く」 ワタルの発言を聞いて、ケリィはブチ切れた。 ケリィ 「カッコつけてんじゃねぇぞ!もし…お前が死んだら!!誰が悲しむよ?」 ワタルは、ミサを見つめた。 ミサは、睡魔に負けまいと必死に目をこじ開ける。 ミサ 「ハラさん…さっき、タダシが二人の関係を惑星に例えましたよね?私は…あなたの月になりたい。今は三日月でも…いずれ、満月になってあなたを照らしてみせます…今は、納得できなくても後悔させません。だから…行かないで…」 ワタルは、涙ぐんでいるミサのおでこにキスをした。 ワタル 「ごめん…俺は、兄貴を…あんな姿のまま残していけない。誰がなんと言おうと…俺達は、兄弟だ」 レナが、口を開く。 レナ 「本当に…あんたなんかの、どこが良いのかしらね?これで、生きて帰ってこなければ…最低だよ…ぐっ…ゲホッ!」 血を吐きながら、レナはタバコとジッポライターをワタルに渡した。 レナ 「一服しとけ…」 スシオは、ワタルに赤いカプセルを渡す。 スシオ 「僕は、あなたの事をよく知らない…だけど、生きて帰ってきて欲しい!」 ユイ 「ミサちゃんを泣かせたら…私、あなたを許しませんから!」 アリィ 「私、ミサちゃんに負ける気は無いですから…また、会えますよね?」 ワタル 「俺は…生きて帰ってくる!」 ケリィ 「ケッ!バカじゃねぇの?もう、離陸するからな!!」 ババババババババババ… ヘリの羽が回りだし…空へと上がり始めた。 ワタルはヘリに背を向け、銃の弾丸を確認する。 ドサッ! 何かが、背後に落ちる音が聞こえた…
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