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二階からジャンプして三階へ上がってきたタダシに、ワタルはサブマシンガンを乱射する。
そして、撃ちながらひたすら逃げる!
伸縮自在のタダシの右腕が、ワタルを切り裂こうと襲いかかる。
間一髪でかわし続ける…しかし、このままではすぐに捕まってしまうと考えたワタルは、二階へと逃げる。
ワタル
「頼むぜ…早く、パネル動かせるようにしてくれよ…」
ズゥン…ズゥン!
足音が近づいてくる…
タダシ
「グロロロロロロロォ!」
見つかった!
タダシの攻撃が、徐々に精密になっていく!
ズシャ…
ワタル
「ギャアァァァァァ!」
タダシの右腕が、ワタルの右腕を切断した。
サブマシンガンと共に、腕が床に落ちる。
血が吹き出す腕を押さえながら、逃げ続ける!
ワタル
「ただでさえ、左手の小指と薬指が無いってのに…利き腕が無くなったら、更に不便じゃねぇか…よ!」
上手く握れない左手で、拳銃を撃つ。まったく狙いが定まらない。
その時、トランシーバーからケリィの声がした。
ケリィ
「パネルを起動させた!」
ワタルはパネルのある教室に逃げ込み、パネルを動かそうと手を伸ばす。
しかし…
背中が急に熱くなり…胸元を見ると、鋭い爪が飛び出している。
タダシの攻撃が、ワタルを貫いていた。
ワタル
「笑え…ねぇ!」
ワタルは、そのままパネルを動かした!急に体が重くなったタダシは、バランスを崩してよろける。
胸を貫かれたまま、ワタルはハンティングナイフをタダシの顔面に投げ刺した!
タダシ
「グロォ…グロロロロロロ!?」
完全にバランスを崩したタダシは、ワタルを貫いたまま二階の壁を破壊して中庭に落下する。
ワタルは、トランシーバーでケリィに連絡を入れた。
ワタル
「パネルを動かして、奴の動きを封じた…そこで作戦がある…サテライトを起動させてくれないか?俺だけを狙うように…」
ケリィ
「は?そんな事して、どうするつもりだよ!!」
ワタル
「今、奴は中庭にいる…化け物になっていても、俺と奴は同じ人間だ。サテライトは、誤射するハズだ…俺は安全な場所に待機してるから心配するな」
ケリィ
「分かった…サテライトを起動させる。成功したら連絡しろよ!」
通信は…終了した。
もう…ワタルには一言も喋る力は残されていなかった。
中庭から見える空は、もうすっかり暗くなっていて…月の光が差し込んでいる。
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