第一章 開幕

2/6
4911人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
夜勤明けの若い医者は、仮眠室から出てコーヒーを買おうと自動販売機の前にたった。 しかし、ウンともスンとも言わない。 コンセントが抜けているのか?調べてみたが、きちんとついている。 不思議そうに首を傾げる彼の名は… 【鹿扮 将】 (カフン ショウ) ショウ 「おかしいな…まさか、停電!?患者の生命維持装置はちゃんと機能しているのか?」 慌てて病室に入るが、入院患者の生命維持装置はしっかり動いている。 ショウ 「自動販売機の故障だな。業者に電話しないと…まったく、面倒くさい」 メガネのズレと、白衣の襟をただす。ショウは若い医者の中ではエリート中のエリートである。頭脳明晰、沈着冷静。身長も高く顔も良い為、容姿端麗も付け加えておこう。 他の医者と交代する為、仮眠室があるC病棟から出ようとするが…ドアが開かない!? ショウ 「オートロックの故障か?」 携帯電話を取り出したショウは、ナースステーションに連絡してみる。しかし…誰も出ない。 ショウ 「これは、絶対におかしいぞ…俺が仮眠している間に何があったんだ!?」 誰かに聞きたいが、仮眠室があるC病棟は植物人間や不治の病で寝たきりの患者ばかり。聞く相手がいないのだ。 ショウ 「エレベーターも動かないし…所々、防火用シャッターが降りている。しかし、煙が入ってこない事から火事ではないだろう…まさか、閉じこめられたのか!?」 自分の置かれた状況を察した瞬間…スピーカーから声が聞こえてきた。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!