第十三章 衛星

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部屋中に、リーの歓喜の声が響いた。 リー 「僕が!僕は!この、僕こそ!ハラ タダシを超える存在だったんだ!これで…これで!」 ズドン! レナ 「お…まえ…」 リーはレナにライフルを撃った。弾丸は大鎌の柄を破壊し、レナの腹部に穴を開けた。 リー 「僕が…新時代のハラ タダシだぁ~♪」 鼻歌まじりで、天を仰ぐリー…彼の目的は、他でも無い。ハラ タダシを倒して新たなるデルタのゲームマスターとなる事だった。 腹から溢れ出る血を抑え、レナはリーに問う。 レナ 「こんなクソゲーを自分の物にして…何をするつもりだ?」 リー 「ハラ タダシと同じ事をするさ♪ただし、僕はもっとアンフェアにゲームを支配する。絶望と裏切りが混沌とする世界で…永遠の神となる。素晴らしいじゃないか?ここまで来るのは苦労したなぁ…猿芝居に猿芝居を重ねて、信頼を得て…ある意味、本物のjokerは僕だったね」 トリモチを飛び越えて、リーは玉座に腰掛ける。 リー 「~♪さて、サテライトはどのPCで再起動させるのかな?誰が生き残っているか、分からないが…みんな仲良くサテライト・ハデスで消えてもらうとしよう!」 レナ 「最悪だ…ワタル…ミサちゃん…ここに、来るな…」 機能するハズの無い、トランシーバーに呼びかけるレナ…とめどなく流れて出来上がった血だまりの中で、彼女は何度も呼びかける。 レナ 「ワタル…ミサちゃん…」 ギギギギギギギギ… 嫌な音をたてて、ドアが開いた。 ワタルとミサが、部屋へと入る。 ワタル 「リー!?」 ミサ 「リーさん!?」 強状態の二人を相手にするのは部が悪い。既にPCでパネルを遠隔操作できる事が分かっていたリーは、ワタル達を見ながらキーボードを叩いた。 ワタル 「リー、後ろだ!」 後ろ? 何を言っているんだ?そう思いながら、リーが眉をしかめた…その時! カチャ… 頭の後ろに、何か冷たい物が触れた。 恐る恐る振り向いて見ると…銃を構えたタダシがいる。 リー 「え?」 タダシ 「あの黒タイツは、特別製だ。臆病に設定し、私の顔を貼り付けた…本物の私は、単に立体映像に紛れて立っていただけさ。全て、計算通り…ははは、笑える」 パァン! リーの頭から、脳ミソが顔を出した。
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