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タダシ
「私が、どんなに名誉ある賞を獲得しても…両親は全てお前に繋げた。
お兄ちゃんにできるんだから、あなたにもできるわよ…とかなんとか言ってな。
確かに、同じ人間なのだから理論上は可能だろう。
しかし、努力や経験が人間に差をつける。私は、お前より優れていた。
だが、私は…ある時、気がついた。
お前が本気じゃない事に…
高校三年の時、不良にからまれた女を助けたよな?」
ワタル
「そんな事もあったな…すげぇ見かけ倒しな奴だったかな?」
タダシ
「お前がやっつけたのは…柔道のインターハイに出場していた選手だった。お前は、常に力をセーブして生きているのでは?私は不安になった。
そして、試してみたくなった。
お前の真の力を!
結果、葛切を利用して開始したデルタ第1ステージをお前は生き残った。この時、確信したよ…お前は私と同じだとな!
天才と呼ばれるようになり、全てが自分を中心に回り始めていた…例えれば、私は太陽だった…だが、お前も太陽だったなら…私の意味は?所詮はクローンか?太陽は、一つでなければならない…全ては私を中心として回らなければならない!なのに…お前は今も、仲間という衛星の中心にいる。それが、許せないのだ!」
憎しみとも、嫉妬とも違う…タダシの動機は存在理由そのものだったのかも知れない…
しかし、ワタルにとっては…
ワタル
「そんな、クダラネェ事の為に…命を弄んだのかよ?お前なんか、俺じゃない…ましてや、俺の知ってる兄貴でもない!」
タダシ
「黙れ、カス!」
走り出すタダシ…そして!
力一杯、ワタルを蹴った!
蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴り蹴りつけた!
ミサ
「やめて…やめてぇ!」
ミサはワタルの盾になるべく、小さな体で覆い被さる。
タダシ
「はぁーはぁー…お前も、所詮はガキだな。全く、冷静な判断ではない!今さら、そいつを助けて何になる?」
ミサ
「そうね…もう、あなたの勝利は揺るがない。でも、これ以上…ワタルさんを…私の大切な人を傷つけないで!」
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