第十三章 衛星

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タダシ 「ふん…そいつのどこが良いのか…まぁ、一応は私だから、あまり貶すつもりもないがね」 ミサは、苦笑した。 ミサ 「あなたとワタルさんは、全く違うわ…だって、こんなにも一緒にいて心が落ち着くのは…ワタルさんだけです」 タダシ 「ははは…そうかい、それは良かったな」 ミサ 「私みたいな、子供が人を愛するのは…可笑しいですか?」 タダシ 「ははは…笑えるな」 引きつった笑い顔をしているタダシを見ながら、レナは口を開く。 レナ 「笑ってる場合じゃないわ…あんた、負けてるわよ?さっき、リーがあんたを尊敬しているって言ってたけど…それはあくまで外面。ミサちゃんは、ワタルの内面に惹かれてる。あんたには、出来ない芸当よ」 タダシ 「…愛だの、友情なんぞ、私の世界では無意味だ!この状況を、どうにかできるか!?」 ミサは、自分の顔をワタルの顔に近づけた。 ミサ 「愛の力で…どうにかなるか、確かめてみますか?」 ミサは、ワタルに口づけをした。 それは、子供のキスでは無い… ワタルは力一杯、ミサを抱きしめた。 タダシ 「は…二人まとめて死ね」 ズドォン!! 銃声…悲鳴…血液… タダシ 「げぶ…なんで…弱なのに…銃を?」 撃ったのは、ワタルだった。その手には拳銃が握られている。弾丸は、タダシの頭を撃ち抜いていた。 ワタル 「さぁ…愛の力じゃねぇの?」 何故、ワタルは銃を撃てたのか?それは、ミサがスシオから受け取っていた【赤いカプセル】(ワクチン)をワタルに口移しで飲ませたからである。 ワタルは、激しい痛みに耐えきれずミサを強く抱きしめたのであった。 レナ 「今度こそ…やったんだな?」 ワタル 「多分な…ミサちゃん、立てるか?」 ミサ 「無理です。お姫様抱っこして下さい」 ワタルは、仕方なくミサをお姫様抱っこした。レナは…見てられねぇと言わんばかりに、煙草に火を点け一服する。 ギギギギギギギギギ… その時、ドアが開いた! ケリィ 「助けに来たぜ!って…あれ?もしかして、遅かった!?」 ケリィを見て、三人は少し笑った。 ワタル 「遅くないよ。ナイスタイミングだ…傷薬、持ってるか?」 ケリィは、アリィから受け取った傷薬でレナを治療した。 ワタルはミサを抱きかかえ、ケリィはレナに肩を貸す。ケリィはPCを操作し、サテライト・ハデス、パネル、黒タイツ、獣を完全に停止させた。
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