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*小野神*
彼はとても鈍感だと思う。
ヘタレで甘すぎるくせに、小野君の考えている事はいまいち解らない。
…だからこそ、と言った方がいいんだろうか。僕とは全く違う思考回路の所為かもしれない。
言葉にされてもこっちとしては素直に受け取れやしないんだけどさ。
小野君には悪いけど、そんな事を考えて少しぼうっとしてたんだよね。
そうしたら、聞こえてきた言葉。
「――で、好きなんですよね」
些細な日常会話の中での事。確かどこそこの何とかって料理が美味しいって話をしてた時。
其処だけはっきり聞き取ってしまったのは仕方ない事だと思う。
何せ一応好きなのだから。
……もう一回聞きたくなったのは不覚だけど。
だから、聞こえなかったふりをして首を傾げた。
「ごめん、もっかい言ってくれない?何が好きって?」
そう言って首を傾げると、目の前の男前は何故か吃って視線をさ迷わせた。
そして暫く唸っていたかと思うと漸く口を開いて、
「か、神谷さんが好きです!」
……驚いて思わず「小野君気持ち悪い」って言っちゃったのは俺が悪いわけ?ねえ!
不意打ちとかどんな顔すりゃいいかわかんないんだよこっちはっ!!
確かに其の言葉が聞きたかったわけだけども!
「だって神谷さんに見つめられたらつい言っちゃうんですよ~!」
はい、小野君黙ってろ。
珍しくD←神谷さんの気持ちで。
2008.3.25
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