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眞宥は深呼吸してどんどん、と前回より少しも強めに叩いてみた。
「あの～転校生の大塚眞宥で」
「いないよ｣
「え？」
室内で微かに声がした。
やっと返答が返ってきたと思ったら、意味不明な発言で眞宥は無言になる。
「いないよ。部屋の中には誰もいないよー｣
部屋の中にいる人物はいないよ、と言いながらも声がする時点で人がいることは決定しているのだが。
（絶対人におるやん……）
当然、眞宥は馬鹿にされているような気分になる。
だが、いないと繰り返す人物の言葉に眞宥は苛立ちはピークに達する。
（人が外で待ってるいうのになんやねん･･･)
頬をひくりと引きつらせながら、足を一歩引く。
そして。
「ふざけんなやぁああ！！」
―ばこっ！
眞宥の強烈な一撃で扉が軋む。
「絶対中に人おるやないけ！
馬鹿にしとんのかぼけっ｣
暴言を吐き、更におまけの回し蹴り。
すると衝撃に耐え兼ねた扉がめきめきっと歪な音をたてて吹き飛び、床に沈んだ。
「ええぇぇえええ――!?｣
木片と成り果てた扉を眞宥は踏みつけて入室する。
その眞宥の怒鳴り声に中の人は、居留守を使ったことを深く後悔し体を大きく震わせた。
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