EPISODE00:入学試験通知

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彼は銀髪碧眼に、美少年と呼ぶに相応しい容貌を持ち、更には細身の長身と、傍目から見れば戦いとは無縁そうだったが、外見とは裏腹に、弱冠15歳にして武術においては達人を越える実力を持ち、魔界でも屈指の武闘家と呼ばれる程である。 そんな目の前の狩人の外見に伴わない実力を本能で感じとってか、ベヒーモスはさっきから彼に向かう事が出来ないでいた。 むしろ畏怖の念を感じているのはベヒーモスの方であった。 魔獣の上位たるベヒーモスであっても、死の恐怖を感じさせる彼の威圧感は、同世代の少年が出せるそれではない。 少年の方は相手の動きを観察し、これからの動きを予測し戦略を立てている様だ。 これらの事から両者に長い膠着状態が続いていたが、やがてそれを破ったのは少年の方だった。 「来ないのか?だったらこっちから行くぞ。」 不意に無表情になると、腰に差した剣を鞘から抜き、一瞬の内にベヒーモスの真正面に接近する。 そんな動きに驚く事無く、獣の本能で目の前の狩人に角を向け、貫かんと突進する。 そんな渾身の突進を彼は難なく避け、ベヒーモスが通り過ぎる時に鋭い斬撃を浴びせるも、硬い皮膚の所為で深い傷をつけるには至らなかった。
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