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アルバートは軽く舌打ちをし、剣についた血を振って払うと、何故か剣を鞘に戻した。
その頃にはベヒーモスも突進を止め、アルバートの方に向き直る。付けられた傷に逆上したのか、またも突進を繰り返す。今度は速度がかなり速い。
そんなベヒーモスの猛突進をあっさりと横に跳んで躱し、通り過ぎる寸前に、アルバートはベヒーモスの脇腹に拳を叩きこむ。
ベヒーモスはその一撃で、重力を無視したように横に大きく吹き飛ばされ、地面に強く叩きつけられる時には、意識を失っていた。
そんなベヒーモスの様子を見ながら、アルバートは面倒臭そうに、
「ベヒーモスとはいえ、俺の相手にはならなかったか・・・・」
と呟き、軽く失望していた。
アルバートは深い溜め息を吐き、ベヒーモスにトドメを刺そうとゆっくり近寄る。
ベヒーモスまであと4メートルというところで、異変が起きた。
突如足元から青い光が放たれたかと思えば、次の瞬間地面に足が沈んでいった。
「な!何だこれは!」
突然の事に驚きを隠せないアルバート。彼は魔法陣の存在を知らなかったのだ。
驚いていても身体は沈んでいく。やがて、胸の辺りまで沈む。
藻掻いても沈む速度が早まるだけで、アルバートはあっという間に沈んでいった―――
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