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―あのぉ、そろそろ起きてくれませんかぁ?時間の都合もあるのでぇ―
アルバートの頭に直接響く舌足らずな声。この声で彼は目を覚ました。
目覚めた彼が最初に見たのは、彼の目の前を浮かぶ白い正方形状の板だった。
「何だここは!?」
驚いて辺りを見回すと、そこは白い壁に囲まれた広い空間だった。広い空間ではあったが、アルバートと板以外何も存在しない寂しい空間だった。
未だに状況が掴めないアルバート。当然であったが、板はそんな彼に構う事無く頭に直接語りかけてくる。
―何だここは・・・・って、試験会場に決まってるじゃないですかぁ。ちゃんと“手紙”読みましたよねぇ?―
板は馬鹿にしたようにアルバートの頭に直接話してくる。その際、語りかける時には板が青く発光している。
「手紙だと?・・・・まさか、三日前のか?」
頭に響く声に慣れないのと、板の態度に苛々していたアルバートだったが、三日前に来た手紙の事を思い出し、珍しく焦ってしまった。
そしてアルバートの意識は、三日前の手紙を受け取った日に飛ぶ。
―三日前
アルバートは王宮の練兵場で日課の剣の鍛練を済ませ、部屋に戻ろうとしていた時だった。
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