月夜の海

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「寂しいよ……」 僕は夜海に浮かぶ月にそう呟く。 小さい声はすぐ波の音にかき消されてしまった。 波は高く、小高い岸に当たる度に白いしぶきをあげる。 波が残した水溜まりには醜い僕が写っていた。 小さな翼……短い足。 僕は顔を背けて後退る。 「……あ!」 かすれたような小さな叫び声をあげて僕は落ちていった。 漆黒の海の中に……。
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