あなどれない生徒

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更衣室は1つ1つ個室になってはいるが、明らかに生徒と個室の数があっていなかった。個室の方がどう見ても少ない。つまり何人かは個室は使えず、室内で上手く着替えるしかないという事だ。   「私はこの前個室だったから今日はいいよ」   「私も。別に気にしない方だから」   「そっ?悪いねー。じゃあお言葉に甘えて」     桃花と未来を除いた4人が個室へと入っていく。桃花と未来は他の生徒に背を向ける形で着替え始めた。   「林さんって周りに気を使うタイプ?」   「私?うーん、特に気にはしてないけど結果そうなのかな?」   「ふーん。うわっ!何この腕!?めっちゃ細い!有り得ないでしょ…。てか白すぎ。ちゃんと日光に当たってる?」   日光って。私は植物かよ。   桃花のリアクションに未来は思わず苦笑いをする。   「林さんだって…」   細いというより…   「ごっついでしょ?私これでもバスケ部主将なんだよ?」   「…ごめん」   「なんで謝るの?謝らないで。それから『林さん』じゃなくて、も・も・か。友達なんだから呼び捨てだよ!分かった?みーき」   「うん。…えっ?」   いま…『みき』って言ったの?   「どうしたの?顔赤いよ」   未来はほんの一瞬顔に手を当てると、自分の顔が熱を帯びている事を確認した。恥ずかしさから話を変える。     「な、なんでもない!早く行こう」   「あ、いけない!チョット急がなくちゃ。みんなー!行くよー!」   桃花が個室に向かって声を掛けると、中からダラダラとした返事がした。   「うぃーす」       名前で呼ばれるなんて何校ぶり?みんな私のこの無愛想な性格で近づかないうえに、名前だって名字に『さん』付けだったのに。     未来はみんなの後ろで着いて行きながらふと考えていた。顔はまだ赤い。身体中の血液が集中しているようだ。
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