あなどれない生徒

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体育館に行くとすでにジャージを着た先生らしき人物が生徒を待っていた。生徒が揃い並び終わると出席を取っていく。隣の桃花はしばらく体育がバスケだと知りなんだかはしゃいでいた。   「よーし、準備運動が終わったら5人1チームを作れ」   未来たちのクラスは女子が17人、男子が18人の計35人。だからどこか1チームは女子が2人と男子が3人の混合になってしまう。     どうしよう。みんな仲良しこよしで決まってくよ。まぁどうせ転校してきたばっかだし、こうなるのは分かってたけど。     「えっと、木下と斎藤が女子で余ってるな。じゃあ悪いがそっちの男子と組んでくれ」   斎藤と呼ばれた生徒は少しぽっちゃり系で髪を1つに縛っている。見た感じ運動が好きな様には見えない。どちらかと言えば美術部で絵を書いていそうな感じだ。   他の男3人組は背も高く運動神経が良いのが明らかといった様子だ。   「木下、よろしく。俺たちがリードすっから木下と斎藤もどんどん打って良いよ」   そう未来に声をかけたのは周りから光(ヒカル)と呼ばれている生徒。   「うん、足引っ張らない様に頑張るよ」     先生は左端から順にチーム番号を付けた。未来は7番だ。 ゲームは5分交代。1と2、3と4、5と6、最後に7と最初の1が対決する。未来は順番がくるまで試合を見たり点数板を付けたりしていた。   「木下さん、いいなー」   一緒に点数板を付けていた女子生徒が突然言ってきた。   「なにが?」   「一緒のチームの男子。あれ、うちのクラスでは人気なんだよ」   「ふーん」   「小学校から一緒らしくて仲良し3人組みなの」     女子生徒はうっとりした目で話続ける。そんな彼女を見て未来は思ったことを口にした。   「なら一緒に組めば良かったのに」   「えぇー…。だって男子の中に女子って浮くじゃん!それに3人の活躍を外から見てたい!!」   「…そっか」   つまり私と斎藤さんは押しつけられたってわけね。「浮く」とか言ってんなら「いいな」とか言うなよ。あぁ…、女って面倒くさい。   「終わった!次は木下さん達だよ、頑張ってね!」   「…ありがとう」     未来は点数板をさっさと0に戻してチームメイトの所へ向かった。
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