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未来(ミキ)はげた箱で適当に空いてる所に靴を入れて、上履きを履きスタスタと階段を上った。2階の真ん中辺りに「職員室」と書かれたプレートが掲げられた部屋を躊躇する事なくコンコンと叩く。
「失礼します。今日からお世話になります木下未来です」
職員室中の目が一気に未来へと注がれた。部屋の奥から一人の男が笑顔で近づいてくる。
「おはよう、木下さん。僕は担任の松田雪斗(ユキト)、よろしく」
「よろしくお願いします」
「さぁ、時間も時間だ。一緒に教室へ行こうか」
雪斗は未来の背中を軽く押して職員室を後にした。
なに、この先生。なにが楽しくてこんなに笑顔なの?見た感じ25・6…大学出たてか。教師にしては若僧ってとこだね。
「緊張してる?一言も喋らないけど」
「そうですね、少し」
「そうか、そうか。まぁここの生徒は気のいい奴ばかりだ。すぐに馴染むだろう」
「そうですね」
バァーカ。緊張なんかするわけないでしょ。6回目よ?6回目。こんだけ転校してれば緊張なんか感じなくなるわよ。
「ここが今日から木下の教室だ」
雪斗は「2-2」と書かれた教室の前で足を止めた。
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