あなどれない生徒

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授業はすぐに終わった。休み時間は毎度の事ながらの質問攻め。立て続けにトイレの言い訳は効かない。だから面倒だが未来は同じ答えを言うのだ。   部活は? 帰宅部専門   どこから来たの? 親が転勤族だからいろんな所から   彼氏は? いない   好きなものは? テレビ   髪の毛は切らないの? 伸びれば切る     こんな感じで短く答えていくもんだから、昼休みの頃には誰も質問をしに来なくなった。     やっと終わったよ。さてお昼でも買いに行こうかな。購買ってどこかな…   「ねぇ、なにか困ってたりする?」   「えっ?」   振り返るとそこにはショートヘアーが似合う小顔で、だけどモデルのようにスラッとした長身の女子生徒が立っていた。   確か…は、は、は、   「林 桃花(モモカ)だよ」   「ああ、…ごめんなさい。まだ名前覚えきれなくて」   「いいんだよ、すぐには無理だって」     桃花は名前の通り花が咲いたみたいに笑った。     ああ…、可愛いな。私には絶対に無理。   「ねぇ、なにか探してたの?」   「うん、購買ってどこにあるのかなって」   「じゃあ一緒に行こうよ。私も行くところだったから」   桃花は少し戸惑い気味の未来の手を取り、さっさと教室を出て行った。
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