想い

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「父上」 「どうした?お前が屋敷にいるとは珍しいな」 息子である飛虎が珍しく自分の元へやってきたので、僧正坊は面食らってしまった。 「高尾山から帰ってきてからと言うもの、桜花の元気がありません。姉の桃花の問いかけにも上の空。何かあったのですか?」 「何もないぞ。国高殿と話をしていたぐらいだ。そういえば、あれから国高殿も元気をなくされているとの話じゃな」 飛虎の剣幕に動じることなく、僧正坊は飄々と答えた。 父の言葉に、飛虎は不気味に笑って 「そっかぁ。国高かぁ。俺の可愛い妹に何かやったんだな。ぶち殺しに行ってやる」 と言うや否や 「おいおい。だから国高も元気がないんだって」 という父の突っ込み。しかし、そんな父の言葉は耳に入っていない飛虎はそのまま屋敷を飛び出してしまった。 「国高に喧嘩売ってもかなうわけないの分かっているのか」 息子の行動に、僧正坊は呆れ返ってしまった。
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