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彼女は今まで忍として暮らしていた。
主に従うだけの、感情の無いただの道具として扱われていた。
漆黒の髪を結わずに垂らしていた。
髪の長さは腰辺りまである。
夜の様な冷たい瞳。
その瞳の色は時折月の様に金色に光る。
彼女を見るだけで"美しい"そう思わざるを得ないだろう。
それほどまでに美しかった。
そして、彼女は滅多に本名を名乗らなかった。
その為、いろんな人に化けている事もある。
江戸で名乗っている今の名は"ユナ"
「今日はどんな追っ手がくるんだ?」
暗い部屋に座り、片手には刀を持っていた。
服装は膝までしかない、黒い着物を着ていた。
漸く来たか…
戸の前で、微かに気配を感じた。
ユナは刀を鞘から抜き、立ち上がった。
スッ
「やぁ!!こんばんは夜の弧蝶さん♪」
「変わった奴が来たな。」
「そんなこと言わないで!!」
背の高い男だった。
ユナは暗い所でも目が効く。
「何をしにきたんだ?」
分かっているがな…
今日は何処からの追っ手だ?
忍なら忍の道具を使うべきだろう。
「尊皇攘夷ってね♪」
そう言いながら急に斬りかかってきた。
ユナは意図も容易く交わした。その交わし方が
"夜の空を舞う蝶のようだ…"
男は頭の中でそう呟いた。
「余所見は…禁物だぞ?」
次はユナから斬りかかった。
男は自分の刀でユナの斬りかかってきた刀を受けた。
そしてそのままユナを押し倒した。
「くッ…」
ユナは男から離れようと暴れる。
しかし男はユナより力は強く、そう簡単には離れられない。
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