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とても天気が良く、太陽がみんなを見守るように日光が照らし出されている。
そんな賑やかな町、京にはたくさんの店とたくさんの人が行き交っていた。
その中をある二人が歩いていた。
「あ、これ買って。着物がもう汚れてあんまり着たくないんだ。」
加夜はそう言いながら白地に紫の藤の花が散りばめられた大人らしい着物に指を指す。
「え~~俺的には真っ黒な着物に白い蓮の花があるやつ…そうそう、お~い、旦那~。あの黒いやつくれない?」
旦那と呼ばれた男は両手を握り、低い姿勢で稔麿の前に来た。
「へい、只今ぁ。」
旦那は黒い布地の着物を取りだし、詰めていった。
そして持ちやすいようにしてくれた。
「どうぞ。きっと貴女には似合うですやろうなぁ。」
笑顔で言ってきた旦那に少し猫かぶりしようと思った。
「そんなこと…ないですよ。…大事に着させて頂きますね。…では。稔麿、着物持って。」
そう言って加夜は店を出た。
「あぃよ~、じゃね、益屋の旦那♪」
「又、いらしてください。」
稔麿も加夜に着いて行った。
店を出た時加夜は小間物屋の簪に釘付けだった。
「…それ欲しいの?」
加夜は小さく頷いた。
「すいませ~ん。この簪、箱に詰めて彼女に渡してくれる??」
店員は稔麿を見て顔を赤らめたが、直ぐに箱に詰めて加夜に渡した。
「いいのか?」
「何を今更?」
稔麿は軽く笑った。
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