2154人が本棚に入れています
本棚に追加
加夜はキッと稔麿を睨み付けた。
稔麿はヘラヘラと笑っていた。
「そろそろ行きますか。今日は寺田屋に泊まるから。」
稔麿はそう言うと、加夜の手を繋ぎ歩きだした。
二人が着いたのは綺麗な旅籠だった。
「此処だよ。入ろう??」
加夜は小さく頷いて稔麿の後ろに着いていった。
「吉田先生!!お泊まりで??」
「そうだよ。部屋飽いてる?」
「へぇ、ただいま。」
旦那は二回へあがって行った。
その時寺田屋の女中は稔麿を見て顔を赤らめていた。
それに気付いた稔麿はその女中に向けて笑みを溢した。
するとその女中は更に顔を赤らめそれを隠すかのように仕事をしはじめた。
「お前、不気味な笑顔を作るなよ。」
稔麿の笑みに気付いた加夜は稔麿の頬を掴んで話しかけた。
「何?嫉妬ぉ??」
稔麿は嬉しそうに加夜に抱きつく。
「何故お前に嫉妬などしなくてはならんのだ!!」
と言いつつも顔を赤らめている加夜に稔麿は接吻をしそうになった。
寸止めの時に旦那が降りて来たのだった。
「先生、部屋が御用意できましたぁ。」
稔麿は早く荷物を置きたかったため急いで部屋へかけ上った。
加夜は両手で顔を覆っていた。
それを見ていた女中は加夜に話しかけた。
「貴女は先生にとってどういう存在なんですか??」
加夜はそんなことを考えたことが無く頭にある思考力をフル活動させた。
しかし稔麿はなかなかあがってこない加夜に呼び掛けて思考力が停止した。
「すいません!又今度!」
加夜はそれだけ言うと女中の返事を聞かずに部屋へと向かった
最初のコメントを投稿しよう!