始まりの夜

2/10
前へ
/494ページ
次へ
―――スポーツカーに興味がある人なら、一度は乗ってみたい車というのは必ずあるハズだ。 それはまさしく憧れというものだろう。 この小説の主人公、坂崎龍太(タツ)もスポーツカーに憧れてるうちのひとりだ。 彼は高校卒業とともに憧れの車、三菱のランサーエボリューションを購入した。 中古にして金額は250万円。 そんな大金どこからって?もちろんローンだ。しかもまだ未成年、父親が肩代わりしてくれた。 誰もが憧れる車をいち早く手に入れた主人公。 恵まれている奴だと誰もが思うだろう。 しかし、彼はこの車を購入したことを後々後悔することになる………。 この、呪われたエボセブンを……。 ―――――――――――――― ここ青森県の日本海側、弘前市には日本百名山のひとつ、岩木山という山がある。 タツの自宅は、その山にかなり近い所に位置し、深夜になると車の音が激しく鳴り響くのだ。 そんな音を幼い頃から聞かされたタツ。 次第に車というものに興味を抱き始め、エボセブンを購入した半年後のある日の深夜、岩木山の一角へと向かうのだった……。 タツ(今日こそ突き止めてやる!走り屋という存在を!!) 『グゥゥウゥン』 ある程度登ったその時、後ろからものスゴい勢いで1台の車がやって来た。 タツ(な、なんだ? 知らないうちに後ろに車がいたなんて) タツは眼をこらしてバックミラーを確認する。 後ろの車が外灯に照らされた瞬間、タツは何の車か理解した。 タツ(雑誌で見たぞ。確かあれは、シビックか)
/494ページ

最初のコメントを投稿しよう!

564人が本棚に入れています
本棚に追加