子供の駿一

3/12
前へ
/13ページ
次へ
それは太陽がギラついて、アスファルトは燃えるように熱くなり、人はワイシャツ一枚で高層ビル外に繰り出すような日。 こんな時に元気なのは、この時ばかりとしつこく鳴きつづける蝉と、暑さ知らずの小さな子供ぐらいなもんだ。 …… … 「ほら見ろ!母さんが買ってくれたんだ!」 「俺だって新しいおもちゃ買ってもらったもんね~」 小学校2年生の頃。 子供ってのはやたら新しい物が流行ったりして、すぐにそれを自慢したがる。 子供だから仕方ない。 でも僕は例外だった。 「吉崎はなんか無いのかよ~」 「……別に無い」 いや、それは正しくないな。自慢する物が無かった僕は、例外にならざるしかなかったんだ。 「なんだつまんない奴」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2430人が本棚に入れています
本棚に追加