子供の駿一

4/12
前へ
/13ページ
次へ
「お前なんて遊びにいれてやんねーよ」 子供の一人が僕を追い出すように手をシッシッとやった。 「いいよ、別にいれて欲しくなんてないし」 クルリと振り返り走ってその場を後にする。 「クソッ何でだよ」 この時、瞳から零れる涙が妙にしょっぱかったのを今でも覚えてる。 ―― ― 「ただいま…」 「お帰り俊ちゃん」 気落ちした僕を、洗濯物を畳みながら満面の笑みを浮かべる母さんが出迎えた。 「ただいま……小百合は?」 「隣の部屋で寝てるわ」 そう言って母さんは洗濯物を畳み終え、ゆっくりと立ち上がる。 この時は、まだ母さんは働いてなかった。 僕も小百合もまだ小さかったし、父さんも今よりは身体の調子がよかったからだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2430人が本棚に入れています
本棚に追加