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「お前なんて遊びにいれてやんねーよ」
子供の一人が僕を追い出すように手をシッシッとやった。
「いいよ、別にいれて欲しくなんてないし」
クルリと振り返り走ってその場を後にする。
「クソッ何でだよ」
この時、瞳から零れる涙が妙にしょっぱかったのを今でも覚えてる。
――
―
「ただいま…」
「お帰り俊ちゃん」
気落ちした僕を、洗濯物を畳みながら満面の笑みを浮かべる母さんが出迎えた。
「ただいま……小百合は?」
「隣の部屋で寝てるわ」
そう言って母さんは洗濯物を畳み終え、ゆっくりと立ち上がる。
この時は、まだ母さんは働いてなかった。
僕も小百合もまだ小さかったし、父さんも今よりは身体の調子がよかったからだ。
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