2430人が本棚に入れています
本棚に追加
でも、お金が無かったのにはかわりなかった。いやむしろ僕がバイトしてなかった分、今より酷かったかも知れない。
「ほら見てシュンちゃん」
母さんが冷蔵庫の中から何かがさごそと取り出し、それを大事そうに掴むとクルリとこちらに振り返った。
振り返った後に僕の目に飛び込んで来たのは、10個入りの卵のパックである。
「今日は卵が凄く安かったの」
母さんは終始笑顔で話す。
――何が、そんなに楽しいんだよ――
「何でそんなに笑ってるんだよ……」
「えっ……」
腹からの押し殺したような声に母さんが少し戸惑った。
「何でそんなに笑うんだよ!!」
感情が、いきなり抑え切れなくなって爆発してしまった。部屋全体に響き渡るかのような大声。
最初のコメントを投稿しよう!