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「母さん!!小百合!!」
僕はリビングに通じるドアを開け、怖くなって泣きながら大声で叫んだ。
「もう、わがままなんて言ったりしないから!毎日いい子にするから!だから、いなくならないでよ!!!」
―――パンッパンッパンッ―――
いきなり、居間から何かが破裂する音がした。
驚いて振り返ると、そこには小さな手で健気にクラッカーの紐を引っ張っている小百合がいた。
「小百合?」
怪訝な顔付きで小百合を見つめる。
すると後ろからお盆に大きなケーキを乗せた母さんが出て来た。
母さんはまるで今日が何もなかったかのような、いつもの笑みを浮かべながらこちらにゆっくりと歩き、そっと耳元でこう言う。
「吹き消して」
「これを?」
ケーキの上には、小さな蝋燭が8本灯っていた。
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