第九章 混沌が支配する夜

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壁から跳ね上がるようにして悪魔の背後に迫る! 「これでも喰らえ!」 迎撃で襲い掛かる鞭のような尾をかわし、翼の付け根をバッサリと切り落とす! 悪魔は悲鳴を上げながら墜落していった。 「よくやった、妖狐」 龍姫は墜落した悪魔の背に乗ると、右手に輝く光の球を出現させた。 「この宝珠は龍族が持つ邪悪を封じる龍玉だ。貴様の化けた聖杯からの魔力供給を、これで封じる。二度と再生などさせん」 そう言って背から一気に腕を差し込む! 暴れて裏拳を放つ悪魔に対し、龍姫はすぐさま飛びのいて叫んだ! 「今だ、神父!聖杯を貫け!」 『聖痕の術者よ!命が惜しくないのか!』 慌てて振り返る悪魔の目に、赤い槍が彗星のように向かって来るのが見えた! 「死とは恐れるべきものではない!受け入れるものだ!神槍ロンギヌス!」 ロイが聖杯に向けてロンギヌスを放つ! 激しい衝突に、ぶつかり合う霊気が嵐のように吹き荒れた! 『グオァァアアアアア!』 悪魔の断末魔が響き渡り、聖杯とロンギヌスが同時に砕け散る! ガルマは本来の姿に戻り、悪魔の影は長い悲鳴を残し、霧が晴れるように消え去っていった……。
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