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イギリス南部の廃村。
閑散として誰も踏み入れなくなったその地に、一人の男が立っていた…。
黒の神父服を身に纏い、首には銀の十字架を掛け、革のスーツケースを持っている。
彼は風に吹かれて目に入りそうになった前髪を煩わしげに掻き上げると、埃りの被った教会へと足を踏み入れた。
ギイッと金具の軋む音が響き渡り、薄暗い教会内に扉からの光が射し込む。
そして彼は壇上でキリスト像を見上げて佇む人影を見つけた…。その人影に会う事が彼の目的だったのだ。
「貴男ほど教会が似合わない方は居ませんね…。
不死者の王ともあろう方がこんな寂れた村で何をしているのですか?」
その呼びかけに影はゆっくりとマントを翻して振り返った。そして赤く光る目を細めて男を見た。
「ふん、ここまで追って来たのか…ロイ・アルフォードよ。余計な詮索は身を滅ぼすぞ?」
不死者の王と呼ばれた男はタキシード姿にマントを羽織った旧世貴族のような成り立ちをしている。
髪は銀髪、緩やかなウェーブで肩まであるが、特に何をするわけでもなく放置しているようだった。
…ロイと呼ばれた男は鮮やかなブルーの目で睨みつけながら、そんな彼にこう言った。
「そうはいかないんですよ不死者王ガルマ、貴方の存在自体十分な脅威なのですから。
…今は亡き師に代わり、今度こそ貴方の胸に白銀の杭を…。」
ロイの言葉からは深い決意が感じられる。しかしガルマはそれを一笑した。
「クックック…たった一人でヴァンパイアである私の相手をしようなど少々傲慢が過ぎるようだ。師の二の舞になるのは愚かとは思わんのかね?」
ガルマは人差し指を横に振りながら、鋭い牙を覗かせてニヤリと笑った。![image=132161449.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/132161449.jpg?width=800&format=jpg)
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