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「傲慢?それは違います。これは我等師弟の誇りです…。これ以上アンデットによる被害を拡大させるわけにはいきません。」
ロイはそう言ってスーツケースの中から白銀に煌めく短刀を二本取り出した。
刃渡りは40センチ程あるだろうか、ロイはその短刀を縦横に交差させる独特な構えをした。それは正に十字架のように…。
それを見たガルマはさらに口元を緩めると、両手を広げて笑った。
「ハッハッハッ!聖職者、神の下僕か…つくづく愚かだ。神が全てを救うなど本気で考えているのか!?
ならば我が操る死者達は何なのだ!あれで救われてると考えるなら笑うほか無い。
私はそんな愚か者に構っているほど暇では無いのだよ。」
「…逃げるつもりですか?貴方らしくありませんね…。」
「ふん、暇潰しに遊んでやっていれば知った風な口を…。
今は目的が出来たのでな、遊びは終わりなのだよ…ロイ・アルフォード。」
ガルマはフワリと音もなく浮き上がると、ロイを見下ろしながら腕を組んだ。
「私は非常に面白い話を見つけたので旅に出る。
それを『逃げる』と言うのかは分からぬがな。」
「ルーマニア、イギリス、フランス、ギリシャにローマ…貴方の影はどこにでも現れる。しかし貴方を滅するまではどこまでも追いますよ?僕はしつこいんです。」
ロイはガルマに戦意が無いのを感じ取って短刀を下ろした。
どのみち単調な攻撃を仕掛けた所で意味が無いのは経験済みだったからだ。
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