第九章 混沌が支配する夜

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「人間は誰だって……自分に出来る事をやらなきゃならない。そうやって……支え合って生きていくものだからだ!」 ガルマは声が聞こえた方を向く。 「フン、弱き者がいくら集まろうが所詮弱者よ。傷を舐め合うだけでは強者に勝つ事など出来ん、それくらい貴様なら理解できよう?ロイ・アルフォード」 そう言って忍の肩を借りてようやく立っているロイを見る。膝がガクガクと揺れているところを見ると、とてもじゃないが戦える状態では無いように思えた。 だが彼の真っ赤に充血した目は死んでいない!荒く肩を上下させて息をしているのも、必死に呼吸を整えようとしているからだ。 忍はそんな彼を心配そうに見つめながら、命を投げ打ってでも戦おうとする決意を感じていた。 ロイは忍の肩から離れ、よろめきながらも一人で歩み出す……。 「弱者だと?それはお前の方だガルマ!」
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