第九章 混沌が支配する夜

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ロイはガルマの瞳を真っ向から睨み返して言った。ガルマは目を細めただけで言葉の続きを待っていた。 「人は生まれながらにして原罪という罪を背負っている、それを生まれてから死ぬまでに償っていかなければならない! お前は人として生まれながら罪を重ね、償う事も無く死からも逃げ出した弱虫だ!」 「……罪?死?何故そんなくだらないものに固執する?死を美徳や何かと勘違いしているんじゃないかね?クリスチャンの諸君は。  人生は一度きり、死んでしまえば何も残らん。力と命があれば何でも思い通りだ……違うか?」 ガルマは挑発する。口元から見え隠れする牙がロイにとっては憎らしく思えた。 「死が有るからこそ精一杯生きていくんだ、だからお前は家畜以下の価値しかないと言ったんだ。」 「……ならば貴様に二度目の絶望感を味合わせてやろう。家畜以下の存在に二度も奪われるのだ……」 ガルマの言葉が終わりに近付くにつれて床が地震のように大きく揺れ始める! 「貴様の大切な仲間をな!」 その瞬間!ガルマの足元を突き破って巨大な妖魔が現れた!
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