第九章 混沌が支配する夜

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「バ……バジリスク!何故こんな所に幻想妖魔が!?」 ロイは目を見開いて現れた異形の妖魔を見つめた。 鳥のように翼が生えた蛇との混合種、一見して感じる容姿はそんな所だろうか?   蛇のような縦長の瞳孔と、長くチロチロ見え隠れする舌。 威嚇するように翼を広げたバジリスクは甲高い嬌声を上げた! 「ロイ、下がって!あのデカブツは前鬼に相手させるから!」 背後から現れた忍はロイの前に立ち、前鬼の指揮を取り始める。 「前鬼!行って!」 「ウォォォォオオオオン!」 前鬼は薙刀を下段に構えて走り出し、バジリスクと交戦状態に入った! 「駄目です忍!前鬼では倒せません!」 そうロイが叫ぶと同時に前鬼の薙刀がバジリスクの体を薙ぐ!しかし全く手ごたえが無いままその体をすり抜けてしまった! バランスを崩した前鬼をバジリスクは背後から蹴り倒して圧し掛かり、そのまま頭を噛み砕こうと口を開く! 「前鬼!!」 忍は慌てて前鬼を帰還させる呪文を唱えた! その直後、ガチン!と前鬼の姿が消えた空間を鋭い牙が通過する。 いきなり目標が消えたバジリスクは再び嬌声を上げ、忍に向かって口から液体を吐き出した! 「きゃああ!!」 回避が間に合わずにまともに喰らった忍は、尻餅をついてその場に倒れる。だが何の痛みも無い、忍は恐る恐る目を開くとロイの青ざめた顔があった。
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