第九章 混沌が支配する夜

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「透!貴方も倒される前に下がってください!幻想妖魔は同じ幻想妖魔の攻撃か特殊なハンターの術じゃなきゃ倒せないんです!」 そう叫び、あえて透に向かってナイフを投げる!刀で弾き返した透は、初めてロイの言葉を耳にして動きを止めた。 「クソォォオオ!」 暴れて襲い掛かるバジリスクをギリギリの線でかわし、透はロイの横に飛び降りる。 「鳳はあれから目を覚ます気配が無い!忍も助けられなかった!  特殊なハンターってのも他の幻想妖魔ってのも居ないじゃないか!どうしたらいいってんだよ!!なあ!」 怒りを抑えきれない透は、刀を持たない左手でロイの襟首を掴んで叫ぶ! 強い力で吊り上げられたロイは苦しげに透の手を握ったまま何も言えずにいる。 そんな二人の混乱を楽しむガルマは、舌なめずりをしてニタっと笑っていた。 「クハハハ!また守れなかったな、ロイ・アルフォード!貴様が無力なせいで犠牲が増え、今もそうやって仲間から責められるのだ!全て貴様が無力だからだよ、ハァーッハッハッハッハ!!」 その表情が見たかったと笑うガルマ。 混乱する透と何も言い返せず絶望感に包まれたロイ。 完全に打つ手が無くなった。そう思った時、王の間にカツン…カツンと規則的な足音が響き渡った……。
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