第九章 混沌が支配する夜

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龍姫は目を細め、バジリスクを見つめながら気だるそうに言う。 「全く……お前は醜い物が好きなようだな、中身が腐ると趣味まで悪くなるのか?」 「フハハハ!この紳士の鏡のような私の何が腐っているというのかね?」 「存在全てがだ、下衆め。」 そう言って龍姫は右手を上げると、バジリスクに向けて拳を握った。 その瞬間、まるで握り締められたかのようにバジリスクの首に手形がつく!そしてそのまま宙へと浮き上がり始めた! 「龍!そうか、貴様も本体は幻想妖魔……!」 ギリっと奥歯を噛み締めるガルマ。 龍姫は上げた右手を一気に横へ振る! ドカンッ!と派手な音を立てて壁に大きな穴が空き、真っ赤な月のシルエットが顔を覗かせた。 月明かりに照らされたバジリスクは抗う事も出来ないまま、耳障りな音と共に龍姫の力で握り潰された! ……その原型を留めていない破片が舞い散る中、龍姫は何事も無かったかのように歩みを進め始めた。
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