第九章 混沌が支配する夜

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息も荒く、よろめくガルマの前で、ロイは力尽きてその場に倒れた。そしてもうピクリとも動かない。 龍姫はロイとガルマを交互に見つめた後に冷たく言った。 「よくやった神父、お前にしか果たせなかった役目だ。誇りに思うがいい。  さあ、これで終幕となるな」 「クハ……クハハハハハ!まだ最後の手は残されているさ!それは貴様自身だ、龍姫!」 ガルマは一瞬にして闇に溶け込むと、龍姫の背後から姿を現し、その細い首筋に牙を突き立てた! 「龍姫!」 透が龍姫を助けようと走りはじめたとき、ガルマは離れて口からしたたる血を拭った。 「ヴァンパイアの能力を侮ったな。魅了と死徒を操る力には、龍姫といえども抗うことはできまい!我が下僕となれ!」 透は内心「その手があったか!」と予測出来なかった自分を呪った!
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