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耳の奥が痒い
シャコはそう思った
人差し指を耳に突っ込んで、異物を取ろうとしてみる
人前ではこんなことはしない
自分のイメージを下げるようなことは、人前ではしない
今は暗い部屋に一人、ベッドに横になっている
部屋には一人だし
ましてや、自分の手も前髪さえも見えない暗闇
他人の目など気にしなくてよい
ふと、シャコは手を止めた
「あ…」
指先に液体の感触
耳は痒みより、手前の痛みに熱をだしはじめる
「…」
シャコは身体をおこし、すぐそばの机に手を伸ばす
「ティッシュ…」
ティッシュの箱は思ったより近くにあった
一枚取って指と耳を拭く
ティッシュをいつもの所にあるゴミ箱に投げ入れる
その時にようやく気付いた
音が聞こえる
ざわざわと本当に少し
静かに音源を探る
その時もうひとつ異変に気付く
目が全く慣れない
普通真っ暗と言っても限界がある
外から入る光や、動いているはずの電気製品のランプ
全く見えない
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