じゃり…

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「あ…」 耳の奥で音がきこえる どこに耳を澄ましても変わらない音量 違和感を感じたシャコは、ティッシュの箱にまた手を伸ばす 「違う…」 寝る前 ここに箱を置かなかった お気に入りのティッシュカバーがついた箱だ シャコは自分の所持品が移動していると気持ち悪くなる人間だ 一気に鳥肌がたつ 「今はどんな状態なの…」 電気を付けようと壁を撫でる 「た…」 壁紙が違う 足がもつれてフローリングに倒れる 「ご、ぽ…」 目の前にある何かと目があう 目が光って浮いてる訳じゃない 目の前は真っ暗 床数センチの高さの位置で誰かと目が合ってるのだけはわかる 「だれ?」 きっちり2秒 耳の奥で音がした ぬめりのある液体が、気泡を吐き出したような音 いつも潤っている唇から、水分がなくなる ゆっくり目を動かすが、周りはやはり暗闇 シャコは意味もわからず、ぎこちない笑顔を作った ―ガチャン 確実に耳の外からの音がなる その瞬間に目の前のものは、滑るように逃げていった
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