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「これからどうしようか」
洋子が力なく言った。
「まずはこの周りを調べてみよう。何か見付かるかもしれない」
博貴はそう言って勇気を見つめた。
勇気は頷くと沙紀を一度横目で見ながら言った。
「なら、ふた手に分かれよう。その方が効率的で安全だ。探索中に何か見付けたら洞窟に持って来ること。とにかく何でもいいから持って来るんだ」
勇気は沙紀の手を取って外へ出ていった。
「洋子、大丈夫か?」
「うん…」
「じゃ、俺達も行こう」
そう言って博貴は立ち上がって洋子に手を差し出した。
その手をギュッと握り洋子は立ち上がる。
そして、二人は洞窟の外へゆっくり出ていった。
博貴はポケットから鍵を取り出した。
「木にこれで印をつける」
「どうして?」
「そうすれば迷わないからだよ」
「なるほど…」
博貴は木々に×印を付けていった。
それにしても島の大きさから、何から謎だらけだ。
まず、ここは日本なのかどうか。
そして、人はいるのかどうか。
何よりもまずはそれからだ。
何の目的で連れて来られたのかはまだいい。
「ヒロちゃん」
洋子が博貴の袖を摘まんで引っ張る。
「ヒロちゃんてば…」
「ん?」
博貴は彼女の方へ向き直った。
怯える洋子の姿。
「どうした?」
博貴の問いかけに洋子は何かを指差している。
「ヘビ…?」
ヘビが紐の様に木から垂れ下がっている。
少し遠いのでよくは見えないがかなりの大きさがある。
さすがにニシキヘビではないだろうが大きい。
「洋子、行くぞ」
「うん…」
博貴は洋子の腕を取って先を進んだ。
少し進むと岩肌が見えてきた。
その近くには崩れてきたであろう大きな岩が転がっている。
「洋子、あそこで少し休むぞ」
「分かった」
二人は岩に腰掛け、足を投げ出した。
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