無人島

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岩に腰掛けながら博貴は島の大きさを考えてみた。 自分が寝ていた砂浜から島の内側を見た時、まず目についたのは今登っている山の様な場所。 高さをメートルでは表せないが、結構高い。 それにこの崖の様な岩肌もかなりの高さがある。 そういえば、川をまだ見ていない。 水分が補給出来ないと大変だ。 食料だって探さないと。 周りは海だから魚を捕るか。 でもどうやって。 モリで…いや、そんなものない。 釣具だってありはしない。 待てよ… 人は本当に住んでいないのか? 住んでいるならどこに家を建てるだろうか。 海の近くか? さすがに山の中には建てないだろう。 動物が入って来たら大変だからな。 でも、砂浜の近くに家何てなかった。 島の裏側はどうなんだろうか。 もしかしたら… 博貴の頭の中は様々な思いが回っていた。 ありとあらゆる可能性を考えた。 結論とはいかなかったが、仮説は出来る限りたてた。 後はそれを一つひとつ確認していけばいい。 まずは島の裏側へ行ってみよう。 「洋子そろそろ行くか?」 「そうね」 博貴は噴き出す汗を拭って来た道を引き返していった。 暫く歩くとあの砂浜に戻ってきた。 「これから島の裏側に行きたいんだ」 「どうして?」 「島の裏側にはもしかしたら人が住んでるかもしれない。もしくは俺達と同じ様な境遇の人達がいるかもしれないだろ?」 洋子はそうかと言って首を縦に振った。 「博貴!!」 勇気の声が山の方から聞こえてきた。 振り返ると勇気も丁度戻ってきたところだったらしい。 二人は伸ばしてカゴの様にした服の上にたくさんの果実を乗せていた。 「凄いだろ?めちゃくちゃ果物がなってる木を見付けたんだ。まだ採りきれないくらいあるぜ!!」 勇気は白い歯を見せて笑った。 沙紀は洋子と楽しそうに話している。 「博貴、何かあったか?いや、まずは洞窟に戻るか」 「そうだな」 四人は洞窟へ向かってあるいていった。
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