ぷろろーぐ

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 それは有り得ないくらいの運の良さ。  生まれてこのかた御神籤で大吉以外とった事なく、福引をすれば間違いなく一等賞。  それにより、円はことあるごとに人に頼られるのだが、円はプレッシャーに弱く、期待されることに凄まじく恐怖を抱く。  決して、それで失敗したことがある訳ではないけれど、もし、失敗したらなどと思うと不安で不安で仕方ない。  けれど、そんなに気の強いほうではない円は頼み事を断ることはできない。  これが、円の抱える問題の一つだが、これの体質にはもうひとつ、彼を悩ませることが。  「ああ、高校でもまたいざってときは神無月にやらせればいいとか言われるんだろうな」  円はまだ始まってもないスクールライフを想像して鬱になる。  円は学校に向かう道を公園の中のベンチから見ると一人の少女が歩いているのが目のなかに入って来た。  円が今、着ているのと同じ学校指定の真新しいブレザーを着ている。  軽やかにステップしながら学校までの道のりを進んでいる。  円とは違い新しい学校を楽しみにしている新入生のようだ。
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